青年部 ゼロ句会 兜太ナイト2報告 by黒岩徳将

「ゼロ句会十月 兜太ナイト2小報告・感想 黒岩徳将」

 現代俳句協会青年部は年5回の勉強会開催を目標にしている。7月は、ゼロ句会を昼間に協会事務所で行い、休憩を挟んで夜に勉強会「兜太ナイト」を行ったので、今回もこの形を踏襲した。もちろん、一般参加者はゼロ句会だけ来ていただいても、兜太ナイトだけ来ていただいても良い。
ダブルヘッダーなので運営は(ちょっとだけ)大変だったりするのだが、協会事務所という場所が参加者の方に根付いてくれると良いと思っている。

ゼロ句会は50歳未満という年齢制限を設けており、 ある参加者からは「総合格闘技ですね」という感想をいただいた。ゼロ句会には様々な句が登場する。無季、破調も珍しくはない。指導句会ではないので、句柄もばらばらでボクシングとカポエラーを同時にやっているとようなものかもしれない。

ボクシングだとかカポエラーだとかジャンル・形式の垣根を破壊しているのが兜太句である。まず、兜太の句そのものを鑑賞する、この勉強会の流れはパネラーの小松敦さんにご提案いただいたのだが、「海原」の安西篤さんの勉強会でも同じ形式をとっているらしい。兜太ナイト2では黒岩が『蜿蜿』

『暗緑地誌』から10句ずつ抄出した。
『蜿蜿』
どれも口美し晩夏のジャズ一団
汽罐手たち雲鳴る山へ素手ふり行く
霧の村石を投らば父母散らん
木登りの陰みえずさびし都心の森
蝌蚪つまむ指頭の力愛に似て
鮭食う旅へ空の肛門となる夕陽
俺が食う馬鈴薯映して友の眼鏡
三日月がめそめそといる米の飯
整序さびし一望の田に北空晴れ
人体冷えて東北白い花盛り

『暗緑地誌』
暗緑の柿の木死者に軽い指
谷に鯉もみ合う夜の歓喜かな
二十のテレビにスタートダッシュの黒人ばかり
熟れた鼻の男霧より出て欠伸
赤い犀湖に埋まれば湖濁る
暗黒や関東平野に火事一つ
やわらかい彼ら逆風の合歓の花
腐る桃ベッドより見る空で撃たれ
怒気の早さで飯食う一番雞の土間
鶴立てり透明体の君のからだ

「海原」の田中亜美氏、小松氏からは「黒岩が選ぶと私たちの選び方と雰囲気が違う」と言われた。結社にただよう空気やイズムの違いを感じられて大変興味深かった。「人体冷えて」「暗黒や」といった有名句は知っていたが、筆者はこの勉強会のために二冊の句集を初めて読んだ。全句を読みすすめていきながら10句ずつを選ぼうとすると、兜太独特の韻律のひっかかりに違和感を覚え、内容があまり入ってこない。うんうんと悩んだ末にあることに気づいた。声に出して読んでみよう。「怒気の早さで飯食う一番雞の土間」は「ど」「め」にアクセントを置く、「やわらかい彼ら逆風の合歓の花」は「彼ら」の後の切れ、余白を大事にしてみよう。そうして一人の部屋でひたすら兜太を音読していくと体内に熱いものが巡った気がして、忘れ難い10×2を選ぶことができたのである。


10句の読み合いについては後藤氏がハイライトを詳述してくれている。読み合いの後は、小松氏に準備いただいた「アップデートモジュール」を使い議論を行った。後藤氏の記事にも一部が掲載されているが、アップデートモジュールは兜太を語るため、新たな世界に接続するための叩き台だととらえていただければと思う。議論の中で何が更新されたのかについては、「現代俳句」誌1月号にレポートを記す。

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